【現役世代の死生観に関する調査】
死を受け入れるのは、「認識・判断できなくなった時」。
医師による判断は半数を下回る。
2014年11月19日
高齢期のライフスタイルの充実について調査・研究・提言する、特定非営利活動法人「老いの工学研究所」(大阪市中央区、理事長:西澤一二、http://oikohken.or.jp/)は、現役世代の死生観と現在の生活姿勢などの関係について調査し、このたび結果がまとまりましたのでお知らせ致します。
1. 死を受け入れるのは、「認識・判断できなくなったとき」が87%でトップ。
次いで、「周囲に迷惑をかけるようになったとき」が73%。「医師に治療できないと言われたとき」は、47%と半数を下回った。
2. 自分の死を意識することで、人生が充実し、幸福度も高まる。
●自分の死を意識している人の特徴(意識していない人との違い)
a)貢献や交流への意欲がある。
死を受け入れる時を、「生きがいがなくなった」「役に立てなくなった」
「交流がなくなった」時だと考える人の割合が、自分の死を意識していな
い人よりも、15%以上多かった。日頃の生活姿勢では、「他世代と交流し
ている」「誰かの役に立とうとしている」が、自分の死を意識していない
人よりも、10%以上多かった。
b)向きで自律的。成長の実感を持っている。
死の受容や生活姿勢に関する質問に対して、肯定する(「そうだ」「やや
そうだ」)傾向があり、全体に前向きで、意思が明確である。また、
「年齢なりに成長・成熟していると思う」と答えた人は76%で、自分の死
を意識していない人を10%上回った。
c)幸福度が高い
32%が、現在の幸福度(10 点満点)を10 点あるいは9 点とした。
自分の死を意識していない人は 16%であり、幸福度の高い人の割合は
約2倍となった。
今回のアンケートでは、自分の死をしっかり意識する人ほど、生活が充実し、幸福度も高まる傾向にありました。長寿化によって高齢期の充実が重要課題となっていますが、死をしっかり意識することが、一つの解決策となり得るのではないかと考えられます。
また、死をしっかり意識すれば、死を恐れず、死について会話をし、死を受け入れる時を明確にできるといった傾向が出ており、これは高齢者を支える子供世代にとっても、大きな恩恵になるはずです。
現代は、核家族化の進行や地域社会の変化によって、昔のように死を身近に感じる機会がなくなってきていますが、これによるマイナス面を示唆する結果となりました。
本調査では20~59 歳まで201 名に回答をいただきました。12 月には、70 歳代・80 歳代が中心の当研究所のモニター会員 約1 万2 千人を対象として、同じ内容のアンケートを実施します。高齢世代から回答を加えることにより、改めて分析を行い、発表する予定です。
【本件に関するお問い合わせ先】
NPO法人「老いの工学研究所」
研究員:川口雅裕
大阪市中央区伏見町四丁目2 番14 号
TEL:06-6223-0001
Email:
[email protected]
以上
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